プレスリリース

電通デジタルと電通、東京大学AIセンターとの共同研究「AIとの協働による人の創造性の拡張」を人工知能学会全国大会で発表

クリエイターのひらめきプロセスの分析とキャッチコピーの評価手法を確立

株式会社電通デジタル(本社:東京都港区 代表取締役社長執行役員:瀧本 恒 以下、電通デジタル)と株式会社電通(本社:東京都港区 代表取締役 社長執行役員:佐野 傑 以下、電通)は、国立大学法人東京大学次世代知能科学研究センター(所在:東京都文京区 センター長:國吉 康夫 以下、東京大学AIセンター)※1と共同で行っている「AIとの協働による人の創造性の拡張」に関する研究成果の一部を、5月28日から開催される人工知能学会全国大会※2で発表するとともにブース展示を行います。

【発表論文】

1.アイデアを必要とする職業における閃きの瞬間の記録と分析

2.コピーライターの思考プロセスを用いたFine-Tuning手法の提案および評価実験

なお、発表論文の閲覧には、人工知能学会全国大会開催前~会期中(〜5月31日)は当該大会への参加者登録ならびにログインが必要です。また、当該大会開催後の7月初旬ごろJ- STAGEの「人工知能学会全国大会論文集」ページ※3よりどなたでも閲覧可能です。

第4次AIブームが到来し、AIのビジネス活用はスタンダードになりつつあります。AIを活用した業務効率化についての研究はますます加速する一方で、新たなアイデアを生み出し、人の心を動かすような創造性を拡張・変革するためのAI活用に関する研究は十分に進んでいない状況です。当社および電通は、これまでも広告クリエイティブにおけるAIソリューション開発に先駆的に取り組み、2022年には、グループ横断組織である電通クリエイティブインテリジェンス※4を発足し、東京大学AIセンターとともに研究に取り組んできました。

今回の発表では、AI活用における「人の創造性の拡張」と「広告クリエイティブの効果最大化」をテーマに、人とAIの協働可能性に関する研究を行いました。具体的には、以下の2つの研究成果をまとめたものです。

  1. 1.
    アイデアを必要とする職業におけるひらめきの瞬間の記録と分析
    本研究では、アイデア創出を専門とする職業※5を対象に、独自開発したアプリケーションを配布し、ひらめきの瞬間に関する情報(日時・場所・シーン・アイデアの内容・ひらめいた直前の行動・アイデアの規模など)を記録・データベース化し、ひらめきの傾向を分析しました。その結果、特定の要素がアイデア生成のパフォーマンス向上に寄与することが示されました。今後の研究では、収集したデータを基に、機械学習アルゴリズムを適用し、さまざまなクリエイターがアイデアをひらめきやすくなるような介入メソッドの開発を目指します。
  2. 2.
    コピーライターの思考プロセスを用いたFine-Tuning手法の提案および評価実験
    本研究では、プロのコピーライターを対象に、コピーライティングという創造的タスクにおけるGPT-3.5 Turboモデル※6(Supervised Fine-Tuning※7)利用の有効性と「心をうごかすコピー」の評価手法※8の確立までを検証しました。【A】GPT-4モデルと、【B】コピーライターの思考によりFine-TuningしたGPT-3.5 Turboモデルの2種類を使用し、コピーライターがコピーを作成し、評価を行いました。その結果、条件付きではありますが、Fine-Tuningされていない【A】を使用した場合、コピーライターのみでコピーを作成するよりもコピーの品質は低下し、【B】を使うと品質が向上する傾向が見られました。コピーライターの思考をAIに教え込むことでコピーの評価が左右される可能性が示されました。今後の研究では、大規模言語モデルの適切な条件や使い方を引き続き調査し、コピーライティングという創造的なタスクにおける人とAIの協働を促進し、双方が有機的に発展するための判断材料を導き出すことを目指します。

<ひらめき発生時の全体傾向>

図1:ひらめきシーン別
拡大画像:ひらめき発生時の全体傾向の図です。ひらめきシーン別のグラフを示しています。28%が一人デスクワーク、8%がオンラインMTG、5%がオフラインMTG、4%がトイレ、45%がオフタイム、4%が運動、5%が家事・ルーティンです。
図2:ひらめき曜日別
拡大画像:ひらめき発生時の全体傾向の図です。ひらめき曜日別のグラフを示しています。11%が日曜日、13%が月曜日、18%が火曜日、15%が水曜日、18%が木曜日、18%が金曜日、7%が土曜日です。

<各グループ総合評価値平均比較>

拡大画像:各グループ総合評価値平均比較グラフです。グループ総合評価値平均は、GPT-4モデルを不使用では69.3、GPT-4モデルを使用では61.6、Fine-TuningしたGPT-3.5 Turboモデルを使用では73.3です。

当社はこれまでも、AI活用によって企業の次世代マーケティング活動支援を統合的に行うサービスブランド「∞AI※9」をはじめ、多くのAIソリューション開発実績を築いてきました。本研究の成果を活かし、クリエイティビティの源泉を紐解くことで、さらなるAIソリューションの進化を推し進め、これまでにない新たな広告手法の研究・開発を進めていきます。


以上

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